夢幻の月
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もう、何もかも、洗いざらい、捨ててしまいたい
教えてほしい、何故にこうもはぐれゆく
ただ、冷たい風を避けてきただけなのに
分かち合えるものなど、初めからない、と、わかっていた
わかっていたのに、誘わるままに、心許して、心失う
この絆を育むためなら、何もかも、洗いざらい、捨てても構わない
教えてほしい、君は何故、前だけを向いて、先を急ぐの?
心の還る場所にしようと、二人で育む絆を求めた
じっと佇み、もがく俺の姿を、取るに足らない弱さだと
君は一瞥をくれて外を見ている
君の存在は俺にとって、雨に濡れるような裏切りとなった
教えてほしい、君は俺の中に何を求めていたの?
もう、終わらせよう、分かち合うものなど、初めからなかった
絆が愛と呼べるまで、じっと育てることなど、人波の中ではただの気狂い
よくわかった、何故、二人の心がはぐれていくのか
組立終わったものにしか、君には価値がないのだと
俺に価値があったとすれば、冷たい風を避ける風除けの役割と、
飽きるまでのひと時でも、味わえるだけの、血肉で育てた心を収穫できることくらい
同じ月を見ていた気がしていた、それは確かに同じ月だった
ただ、こちら側からは決して見えない、それぞれの裏側だった、というだけのこと
ただ、それだけのことだった…
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